選考を進めた先で内定者を確定したら、新卒採用活動の後半戦ともいえる内定者フォローに突入します。中でも代表的なフォローの方法が、内定者研修です。内定者の不安を払拭して信頼感と入社の確率を高めることができれば、スムーズな4月の入社に繋げることができます。
今回は、内定出しから入社までの限られた期間で実施する研修の目的と、工務店各社と内定者の双方がストレスなく内定者研修を実施するためのコツを解説します。
内定後~入社までのフォローがカギに!内定者研修の3つのねらい
ねらい① 内定辞退の防止
「内定者研修」を実施する一番のねらいは、入社までの内定辞退の防止です。
早い段階で業務について学ぶ場を設けることで、入社後の業務イメージを明確にし、自社で働く意識の強化に寄与します。内定者が集まる研修は同期同士による交流の場も兼ねており、一緒に参加してもらうことで仲間・チーム意識を形成しやすくなります。
一般的な研修を行う際の目的は「一定の学習成果をあげるスキル獲得」がメインです。
確かに内定者研修においてもスキル獲得は重要ですが、実務での応用を重視する入社後の研修と異なり「信頼関係の構築」にも十分配慮しなければなりません。
ねらい② 内定者が抱える不安の軽減
内定を出して安堵する企業にとっては、内定を出した後こそ、他社よりも魅力を訴求し内定者の志望度を維持・向上させられるかで辞退の有無に差がつきます。
実は、内定の取得後に就職活動を続ける学生もいることが関わっています。
学生の考えでは「より志望度の高い企業の選考を受けるため」次いで「内定先の企業でいいのか、不安に感じたため」といった理由が挙げられることが多いです。
よって内定者研修の場で企業理解・信頼を深めてもらいながら、内定者自身の不安に寄り添うことで、より良い印象を持ってもらえる可能性を高めておけます。
ねらい③ 社会人スキルの育成
そして、入社後はスムーズに業務に取り組んでもらうためのスキル育成ももちろん重要です。
社会人として求められるビジネスマナーやコミュニケーション上の礼儀、どのような業務でも最低限必要なパソコンスキルなどを身につけてもらうことで、内定者の不安を解消しつつ、現場の社員が受け入れやすい素地を形成していくねらいもあります。
内定者研修の設計でおさえたいコツ
~大切な機会で思わぬ失敗やトラブルを発生させないために~
コツは内定者と自社、双方のニーズを把握し、採用担当が内定者と会社側のニーズをバランス良く取り入れることです。
内定者は「交流を深めたい」「社風や仕事内容を知りたい」というニーズが大きい一方、企業としては「ビジネスマナーを身につけてほしい」「できれば即戦力として活躍してほしい」など、学生らしさを脱却し新入社員として恥ずかしくない人材になってほしいといった希望を込める傾向が強くなります。
内定者のニーズに寄りすぎると、いわゆる懇親会に留まる要素が増えてしまい、反対に企業のニーズに偏りすぎると入社前にも関わらず業務体験がメインの研修になってしまう可能性もあるのです。
内定者に入社意欲を高めてもらうためにも、学びの提供とニーズに応える落とし所を探りましょう。
内定者研修はあくまで、入社前に実施するものです。即戦力化を目指すあまり、学生である内定者に過度な負担のかかる課題を設定したり、事情により欠席を申し出た内定者にも研修への参加を強制したりするのはNGです。
新入社員と違い、内定者には労働の義務がないため、研修参加にも本人の同意が必要となります。