地方創生と働き方改革

2025年 人は「買い物」をしなくなるについて…

2020-05-04

ココがポイント

今回の書籍考察は…「2025年、人は「買い物」をしなくなる」

2025年、人は「買い物」をしなくなる/望月 智之  (著) /1,628円

…2025年、人は「買い物」をしなくなる  という衝撃と興味を掻き立てられるタイトル。

これからの日本は勿論、世界の消費動向の未来と【デジタルシェルフ】という概念から考えられる今後の社会、生き方から今後の地域創生・地域企業の生き残り・発展にどんな示唆を与えてくれるか考察を述べていきます。

<要約と本書の重要ポイントまとめ>

Lightに読める一冊で、世界(欧米)の今と今後の消費動向【デジタルシェルフ】についての考察や今後の小売店、生産者の生き残り施策、差別化の方法。購入体験による買い物やレジャーの意味付けを考えさせられる一冊。

【人は買い物をしなくなる】というセンセーショナルなタイトルだが…当然人は今後も物を買います。本書では、買い物をしなくなるのではなく…買い物の方法や感覚が変わっていくという意味。

1章:ショッピング体験の進化…「買い物」をしなくなる

◆買い物は面倒臭い…楽しいのは「買い物のプロセスの一部分」が好きと言っているだけ

◆店は無くならず、むしろどこでも買える時代に(現状はEC化率は6.22%だが右肩上がりに…)

◆「ネットにつながる時代」から「情報につながる時代」へシフト(FB、Twitter、Instagram)

わざわざ行く価値のある店舗が生き残る(飲食、サービス、エンタメはネット代替が難しい

◆AIとサブスクで買い物の煩わしさ、判断から解放(あなたにマッチしているのはコレ!)

買っているのに所有しないという価値観(メルカリ)…セール品は敬遠される

楽しく無くても選ばれるAmazon、楽しみは開封の儀(届く瞬間、箱を開ける体験を重要視)

2章:ショッピングの発展

◆①百貨店と個人商店 → ②スーパーマーケット → ③大型店舗 → ④これからの社会

※①戦後復興→②車社会→③チェーンストア理論…この頃コンビニ、ドラックストア、100均も登場

商品棚がネットの普及で「自宅に…」スマホの普及で「手元に…」(いつでも、どこでも買える)

◆レビュー重視の買い物(良いか、悪いかの判断を人に任せる。レビューは正直さに価値)

◆若者(デジタルネイティブ)はググらずアプリで探す(メルカリ、ZOZO)…購買力をこれから持つ

◆スモールマスづくりを進める大手企業(1000億円市場を1つよりも100億円市場を10個)

◆PBの増加によりメーカーはDtoC(Direct to Customer)市場を構築

3章:リーディングカンパニーの取り組み

◆物流コスト上昇によるECのコスト限界…今後は独自配送or配送センター受け取り

便利さの次は「時間ソリューション」は衣食住全てに波及(ヒット商品番付も時短商品が多数

可処分時間はスマホに奪われる…時短サービス(AmazonGo 、カーブサイド・ピックアップetc...)

差別化・特別感はパーソナライズ商品とDiscover(AIによる商品リストアップで自分だけの選択)

インフルエンサーマーケティングの加速(CMの女優よりも同じ境遇の人の口コミ)

4章:デジタルシェルフへの進化

◆身の回りのあらゆるモノがデジタルシェルフ(商品棚)…リアルの一等地よりもスマホの一等地に価値

※人がいればどこでも店舗になる時代(スマホ一つで宣伝も購買できる)

◆データドリブンで無意識の領域に…(写真は宝の宝庫、映画のキャスティングも顧客データで決定)

検索=自分で気づくマーケット口コミ=自分で気づかなかったマーケット

※インフルエンサーはファンまでしか広がらないという市場の限界…

◆共感ストーリーで売る(インフルエンサーがメーカーなら最強!…WhatよりWhy、How & 長期間)

デジタルシェルフは5Gで加速する(専門家でもどんな変化か予測できない…)

5章:「買い物」をしない未来の先にあるもの

◆買い物時間が0秒になることで消えるもの(店舗、店員、在庫、値引きetc)

◆バーチャルコンシェルジュが24h最高の情報、サービス、判断を提供

行動がスコアリングされて筒抜けに便利さとプライバシーの境界線

負のスコアリングの蓄積でサービスを受けられなくなる人が出てくることも

◆メーカーが消費者と直接つながって声を聴くことで熱狂的なファンが生まれる

 

ココがポイント

今回の書籍考察 <気づきと学び、共有・実践したい事>

3つのポイント!

地域創生、地域企業の取るべき戦略

EC比率は今後も増加し、地域店舗・商店街・個人店で購入する理由が益々薄くなる時代において、地域企業はどんな戦略や考え方をもって戦えば、今後の戦い方を生き抜いていくことが出来るのか?

そのヒントが本書には詰まっていたと思う。

大手企業、資金が潤沢な企業はデジタルシェルフ(商品棚)の一等地もリアルの一等地も抑えるために人員も資本も投下するだろう。また、デジタルネイティブ世代(ググらずアプリで探す世代)の取り込みの為に新たなアプリサービスもどんどん登場するだろう。

大手企業、大都市圏に右に倣えの戦略では、地域企業、地方では勝ち目はない…

そこで、以下の3つの視点地域創生・地域企業の戦い方において大きなヒントになるだろう!

1.わざわざ行く価値のある店舗・地域づくり

飲食、サービス、エンタメは、そもそもその場で5感で体験することが前提にある為、ネットでは代替が難しい。(その土地のものを土地の空気・人と一緒に食べる。その土地独自の文化を体験etc)

これらは、わざわざその土地に時間と費用をかけて赴かないと手に入らないモノです。世の中が効率化に進むのであれば、取るべき戦略は「時間ソリューション」の逆張り=「非効率のデザイン」です。

【面 倒】【時間がかかる】【簡単に手に入らない】その”非効率”さをデザインし付加価値に変えることが重要になるでしょう。

2.共感ストーリーで売るシクミづくり

地域創生も地域企業の戦い方も「共感ストーリー」という考え方はとても重要になるでしょう。地域で取り組む商品・サービスづくりとそれを届ける為の、独自のDtoC(Direct to Customer)市場を構築することで、地域や企業に対する強力なファンをつくり、そのファンの中から数名でもインフルエンサーとなる方が出てきたら大きな波及効果が期待できます。

更に…一歩進んで地域や地域企業自体がインフルエンサーとなることで顧客との最強の関係性を構築できるでしょう!…その際には、WhatよりWhy、How & 長期間(歴史・文化)に渡るオリジナルストーリーを明確に示せるように準備を行いましょう。

3.届く瞬間、箱を開ける体験を重要視

最後は…おまけ程度に。各市区町村が取り組まれている【ふるさと納税】これもただ単に品物を届けるだけではなく、届いた時のインパクト、開封する時のワクワク感をどの様に演出するか?を考えるだけでも今後の関係構築、リピーターに繋がるかもしれないですね。

個人の判断と時短・簡略化の使い分け

ほぼ24h常に情報につながる時代へ突入した現在において、自己制御やリテラシー能力が求められてきます。商品棚がスマホと共に手元に届き…いつでも、どこでも買える!そんな中で、本当に自分の購買、意思決定は自分が行っているのか? AIや他人の意見で買わされているのか?…冷静に考えてもらいたい。特にこれから購買力を持つデジタルネイティブ世代は、親の教育も含めて重要になるだろう。たかが買い物一つのテーマだが、自分で決めているつもりが、進路も友達も何もかも…AIに支配されている。なんてSFの世界のような悪夢にならないように互いに意識したいものです。

また、行動がスコアリングによる便利さの反面、プライバシー侵害の問題や、負のスコアリングによる行動制限リスクについても、社会教育として若年層も含めて理解が必要となるでしょう。

※現状でもクレジット事故など負のスコアリングはありますが…全てがつながる5G社会ではますます顕著にこの傾向やリスクが顕在化してくるでしょう。

鎖国と独自文化という考え方

江戸時代の鎖国は…様々な意見、考え方がありますが、日本固有の文化を後世に残すという役割を果たしたことは大きな功績の1つだと思います。もし、鎖国せずに欧米諸国の文化を早くに取り入れ、欧米化を進めていたら、【言葉】【食文化】【建物・景観】【服装・装飾】【伝統行事】など日本固有のものが今、どれだけ残っていたか?

個人も地域社会・企業もデジタルシェルフ、IT、AIの進化の良きところは享受しつつも、個人や地域社会のアイデンティティを維持するための、一種の【デジタル鎖国】を意識的に取ることも重要となるでしょう。変化に対応して生き残りつつも、後世に残すべき価値あるアイデンティティは何か?を考えた働き方改革・生き方改革を意識していきましょう。

 

詳しくは本書を読んで、事例など筆者の考えにも触れてみてください"

2025年 人は「買い物」をしなくなる/望月 智之 著

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