前回は選考における3つの面接方法とそのメリット・デメリットを対比して検討できるよう解説しました。
選考では限られた時間内で、自社に合った人材かどうかをいかにして見極められるかが肝になります。
今回は面接担当の心構えとして意識すべき3点に、各社の採用活動で実際に役立つ質問・問いかけの例を交えながらお伝えします。
心構え① 話しやすい雰囲気をつくる
まずは、選考前後から話しやすい雰囲気をつくり、質問に対して本音で答えてくれるような場をつくるように心がけましょう。
学生の本音を引き出すことができれば、求める人材か見極めるために有効な情報をより多く集めやすくなります。
本音を引き出すためには、面接官から自身の仕事・経験を自己開示してみたり、学生の話すスピードやトーンに合わせたりと、話しやすいと感じられる場にできるかがポイントです。
学生に対する一定の配慮はしつつ見極めとして、選考中の会話の中で自社の雰囲気に馴染めそうか、良好な人間関係を自ら構築できそうかを見られるように面接官の判断準備をしておくことも大切です。
心構え② 話を掘り下げる
面接時にきちんと話を掘り下げると、書類選考だけでは分からない応募学生の人柄や思考特性などを知って、見極めに活かすことができます。
例えば、書類に書かれているエピソードに対しては「なぜそのような行動を取ったか」「その取り組みを通して、どのように感じたか」などと聞くと良いでしょう。
中でも、営業職の選考では「行動量の多さ」に注視する企業も多いでしょう。
特に「高い目標を掲げて行動してきた」という経験やその経緯を掘り下げられると望ましいです。
一見、コミュニケーション能力の高さや話の上手さに着眼しがちですが、断りや時に厳しい声にもめげずに、高みを目指して行動し続けられるかどうかなどをチェックできるようにしましょう。
心構え③ 選考を通じて志望動機を形成する
他社にはない自社ならではの魅力を伝えて惹きつけを図ると、学生の入社意欲の向上が期待できます。
例えば、建築を専攻してきた学生だと、設計課題に熱心に取り組んだ経験や建築にある「芸術的・美的な側面」を大切な要素としてとらえている方もいます。
事前に聞き出した情報を踏まえながら、設計の実務担当者が面接官として担当し、自社の商品に関する話題や「本人の個性が生かせる部署」の存在や「学生自身の希望を踏まえたキャリアプラン」などを提案して学生の心に訴えかけられれば、自社で働くモチベーションが上がる可能性が高まります。
上記のような3つの心構えをしながら、目的に合った問いを投げかけていくようにしましょう。
例えば「人間性や志向性を知る」という目的を設定します。
「ご自分の長所や強み、短所や課題点を教えて下さい」「性格や物事への取り組み方について、周りからどのような評価を受けることが多いですか?」といった客観的な自己・他己分析を掴めているかを見る投げかけは、定番でありながらポテンシャルを把握するのに適していると言えます。
他にも「ストレス耐性をはかる」ことを目的にする際は「ストレスを感じる時はどんな時ですか?」「何をしている時が一番楽しいですか?」といった率直な質問から、ストレスを感じる場面や解消法などを自己理解し、セルフマネジメントができそうな人材かを見ることができます。
また、選考の段階によっては「自社への入社意欲を図る」というねらいで「当社に興味を持った理由と、入社して実現したいことを聞かせて下さい」「就職先を選ぶ上で何を重視していますか?」といった、学生の志望度を知る質問をしてみることをお勧めします。
このように面接官となる担当者には、学生の情報を聞き出す力や学生に自社の魅力を訴求する力となどの、多くのスキルが求められます。
採用担当者の印象が志望順位や企業のイメージに影響することを考慮すると、面接を担当する社員のスキルアップも欠かせません。