「今年度(2020年)の採用活動はいかがでしたか?」
この質問に笑顔でうなずける人や企業は少ないかもしれません。
新型コロナウイルスの影響で、採用市場、就職・転職市場は
文字通りひっくり返り買い手市場になりました。
そもそも各業界の業績下降傾向は否めませんし…
自社の経営を危ぶみ採用活動を控えた企業も多いかと思います。
転職者の立場でも、本当はもう辞めたい。
と思っていてもこの状況だから、今は退職→転職は控えて、
もう少し今の会社で我慢しよう。
という思考になり、人の動きが一気に鈍化します。
今回は、そんな採用、就職・転職のピンチを…
「今だからこそ」チャンスに変えられるかもしれない、そんなお話をさせていただきます。
2020年4月に採用中止を決定した、岐阜県(飛騨高山)の企業の事例を紹介します。
飛騨高山。というエリアもあり、業界は観光業(旅館・ホテル業)の企業です。
毎年、新卒採用も中途採用も積極的に行っており…
コロナウイルスの話題が広がり始めていた3月段階では気にせずに、攻めの姿勢で採用しよう!
と活動を続けていましたが、緊急事態宣言を受け、業界の不況予測はもちろん…
スタッフやお客様の身の安全を考え、採用活動を全面中止としました。
3月までに行ってきた採用活動に参加いただいていた方々には一人一人に、
お詫びの電話を入れるなど、苦渋の決断でした。
しかし…8月になり、一転して採用を再開しました!
コロナウイルスの影響は続き、インバウンドの宿泊はもちろんのこと、
国内の人の動き(旅行&ビジネス)も鈍化は依然として続いており、
決して、業績の回復が見えたから再開する。という決断ではありませんでした。
時期的にも一般論として、就職活動も終盤戦…
母集団に期待はできないかも…と思いながらweb説明会(ZOOM利用)を設定しましたが、
なんと予約は86名。当日は52名が参加しました。
※まだWeb説明会やツールに慣れていないため、ウェビナーなどは利用せず通常のZOOMで実施。
3月時点や例年は説明会を実施しても参加は20名がMAX。
少ないときには一桁、という結果が常だったこの企業…
web参加という気軽さがあったとはいえ、あまりの反響に驚きました。
そして…参加者の質も申し分ない、
この時期にこんなにいい学生がいるのかという驚きと、
特定の業界を根強く志望してくれる志望者は数多くいるのだという発見がありました。
大手ホテルチェーン、旅館も軒並み採用を中止、縮小したことで、
地方の小さなホテル・旅館業にも、数多くの質の良い志望者が集まったという事例です。
これは、単に採用成功!!
という成功事例の共有ではありません。
これは、過疎化が進む町に若者、子育て世代を呼び込み、
街の活性化という重要な役割を果たしている。という事例です。
採用活動、就職活動は、人生にも大きな影響与えるイベントの一つです。
そんなイベントには人の移動もつきもので、
特に、地方では働く場や生活の基盤が無ければ、人が移り住む理由がありません。
採用活動を通して、街を活性化させる。
今までは大手企業、大都市圏の有名企業にそのパイも取られてしまっていましたが、
今ならもしかしたら地方の望む、U/I/Jターンも可能かもしれません。
先述の事例は地方の観光業の企業です。
こうしたニッチなフィールドにも質の高い学生が集まったという事実を考えると、
どの業界、どのエリアでも取り組み次第ではよい結果が予想できます。
あとは、一歩踏み出す勇気ですね。
ただ、現在もコロナウイルスの第2波が押し寄せ、予断は許されない状況です。
説明会や初期面接はwebで対応や、なるべく早期に内定を出したほうがいいという場合もあります。
そうした時代や時期に合わせた臨機応変な対応ができるかどうかも、
このチャンスをつかめるか否かの重要なポイントです。
web説明会を実施するにあたり、ネット環境や配信環境など、懸念事項は数多くあります。
もし自信がないと思ったら、ぜひネットで「ウェビナー やり方」と検索してみてください。
必要な知識や準備はネットから仕入れることが出来ます。
それに加え、自社の良さを画面越しで伝えるための工夫も不可欠です。
若手社員が積極的に参加する、座談会を設けるなど、求職者が知りたいことを親身に考えたうえで、
満足度の高いものを提供したいものです。
ウェビナーや求職者視点で、わが町に来てもらう方法を考えることは
もはや、採用活動ではなく地域活性化活動として重要な位置づけにおいて、
一社ではなく、街ぐるみで考えてもいいかもしれませんね。