働き方改革と休み方改革
皆さんは今現在、年間でどの程度の余暇時間を取っているでしょうか?
「働き方改革」は「休み方改革」休みをいかに楽しむか?活かすか?が人生100年時代においては重要です。
そんな、ワーク・ライフ・バランスが一層重要となる世の中において、皆さんの組織改革は進んでいますか?
2018年6月に成立した『働き方改革関連法案』により、2019年4月1日から10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間の消化が義務付けられたことをご存知でしょうか?
運用開始からすでに1年以上が経過しているため、人事・総務担当者から指示を受けた方も多いのではないでしょうか?
ちなみに…世界30カ国、18歳以上の男女1万5081名を対象に行われた調査において、日本の有給消化率は世界最下位の50%に留まっています。
調査は日本全国の企業を対象としているため、中小企業なら、なおさら低い水準となっているでしょう。
今後は所定休日に加えて、最低5日の有給消化が義務付けられ、多少は有休の消化率の底上げが見込まれています。
そこで…今回は有給休暇の義務化について最低限知っておくべき導入の基本についてお伝えいたします。
年間休日と有給休暇の消化…最大40日間の保有者も!
今回の法改正による義務に違反して、対象となる社員に有給休暇の消化をしなかった場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。
また、2019年4月1日から中小企業のための適用猶予制度が特にないまま、一斉に適用されることになります。どんな企業・組織にとっても、他人事ではありません。
有給消化の対象者には細かい規制がありますが…
普通に出社して働いてくれている正社員はまず当てはまります。
その他、週の半分以上働いているパート・アルバイトスタッフも対象となる可能性があります。
※詳細はWEBサイトで詳しく解説されている情報や関連書籍をご参照ください。
この有給消化義務化において、消化が5日未満になってしまいそうな社員に対しては、会社が個別に取得日を指定する『個別指定方式』と、会社が社員代表との労使協定により、5度の指定有給日をあらかじめ決める『計画年休制度』の2つのうち、どちらかの方式を利用していただくことにななります。
現在半数以上の社員が有給休暇5日間を消化出来ていない状況なら…
管理の手間を省くためにも『計画年休制度』を導入されることも一案でしょう。
『計画年休制度』を導入することで、管理が行き届かなくなるとったトラブルが防げる他、業務に支障が少ない時期に全社一斉に有給を消化させるという対応が可能となります。
ところで、『計画年休制度』を導入する場合、その手続きとして労使協定が必要です。
また、決定した「有給休暇取得日」は会社側の都合で勝手にコロコロと変更することは出来ません。
さて、皆さんの会社・組織では労務対策の準備は出来ていますか?
近年厳しさを増す労務管理ですが、些細なことでもお悩み事があれば社労士の先生や専門家に早めにご相談ください。
余談ではありますが…
残業規制の強化や休暇取得の促進など、地方や中小企業の経営には厳しい労働基準の見直しが続いております。
“休む時間”の助長の風潮は近年高まるばかりで、これからも厳しくなっていくでしょう。
また、先の調査によると、有給消化に対し「罪悪感がある」と考える日本人は6割以上にのぼり、世界でもっとも多い結果となっていますが、大きな理由は『同僚・上司は働いているから』というものです。
休暇が問題なく取得できるようになれば今度は、
『休む=当たり前/休めない=周囲は休んでいるのになぜ自分だけ』という構図がそう遠くない未来にやってくるでしょう。
ガムシャラに働いて売上をつくる時代がいよいよ終了します。
働くことに対する、日本特有の美徳感からの脱却を老若男女問わず速やかに行わないといけません。
当然、これまでと同じ方法で経営をしていたら、稼働日数が少なくなる分売上・利益は落ち込みます。
現在、有給休暇を取れていない理由は『業務過多・人員不足』が大半といわれているため、“休ませながらも売上・利益を作って会社を残していく”ためには、個々のスキル向上や、マニュアルの整備による業務の標準化、無駄・非効率な単純作業の自動化を急ピッチで進め、この課題を解決する必要があります。
皆さんの企業・組織の生産効率がどこで下がっているのか?(ボトルネックはどこか?)
また何をすることで生産性が上がる仕組みに繋がるのか?
その答えは、人間関係・業務の無駄・スキル不足など様々であり、また複合的に絡んでいる可能性もあります。
業務の効率化や仕組み化に向けて、今こそ問題の発見や意識改革が求められているのかもしれません。
『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と世界に認められた輝きを、この有休消化の義務化、働き方改革を一つの契機に取り戻せることを期待しつつ、我々自身も率先垂範したいものです。